一番揃いやすいoverKJQJって何?

 

(筆者:かいたい  @kAItAI_wInd_Is)
本記事では以下の単語が説明なしに使われます。
合成数出しカマトト

また以下の略称・呼称を使います。
A : エース
T : 10
J : ジャック
Q : クイーン
K : キング
X : ジョーカー

本記事は素数大富豪中級者以上に向けた記事です。 ちょっと読んでちんぷんかんぷんでしたら3TK氏が書いた、この記事よりもはるかに丁寧で見やすいoverKJQJ(通称オバケ)特集~ - [素数大富豪]3TK's blog を先に読むことをお勧めします。

はじめに

最近(2021年4月時点)overKJQJ*1があまり対戦で見られなくなったらしい*2。 しかしoverKJQJを覚えることは確実に勝利に寄与してくれる。相手に4枚出し→KJQJ と組まれた場合にoverKJQJで返せるか返せないかは勝敗に直結するうえ、相手の手札が~15枚程度のときのoverKJQJは絶対的な強さを持つ。

本記事はoverKJQJを今から覚えようとするプレイヤーや最近overKJQJを使わなくなって記憶から抜けてきた熟練者に向けて、覚える順番の指針を示すためのものである。

素数(今回は合成数だが)を覚えるときに意識すべき点は3つだ。まず、その素数大きい(≒返されにくい)のかどうか。次にその素数が実戦で揃えやすいのかどうか。最後にその素数覚えやすいかどうかである。

強いoverKJQJについてはマリンさんが書かれた以下の記事が参考になる。 overKJQJとカードカウンティング - マリンの日記【素数大富豪】

ということで揃えやすいoverKJQJについて去年の秋ごろ私が作ったデータを記事にした*3

概要

先手:4枚出し
後手:ドロー → 合成数出しカマトト(手札24枚)
先手:KJQJ
後手:ドロー → overKJQJで返す

という流れを想定し、「山札からランダムに25枚引いたときに、個々のoverKJQJがどのくらいの確率でそろうのか」を調べた。

調査方法

python3で以下の手順を10,000,000回行い、overKJQJが揃った割合として確率を出した。

 

トランプから25枚を取り、個々のoverKJQJが揃っているか調べる。1デッキ54枚からランダムで25枚とる場合と、1デッキから11枚とった(相手の)手札でKJQJが(ジョーカーを使ってでも)作れるときに、12枚目から25枚とる場合の2パターンについて1千万回ずつ調べた。前者は相カマトトスタート、後者は初手4枚出し→後手カマトトスタートを想定している。

overKJQJの判定方法は次の通り。

  • 出す数は4枚8桁でありKJQJより大きい
  • 素数大富豪のルールの範囲内で素因数分解をする
  • 合成数1つ1つにつき集計する。(素因数分解のバリエーションはなんでもよい)

例えば

13121112 = 2^{3} \times 3 \times 101 \times 5413

の場合、

13121112\mathrm{KQJQ}のみ、2^{3}2^{3}でも2 \times 2 \times 2でもよい、101はAXA(\mathrm{X}=0)でもT1でもよい、541354\mathrm{A}3でも54\mathrm{K}でもよい

として、そのいずれかが揃ったらKQJQが揃ったとする。
また2^{4}2^{{2}^{2}}とできる。

結果

はてなでの表の作成が面倒なため画像で掲載する*4。KJQJを抜かないパターンのランキングは以下の通り。

f:id:QK-Titech:20210502164125p:plain (2021/05/02追記)上の画像のKKTJの素因数分解が間違っていたため画像を修正しました。(追記ここまで)

両パターンをグラフにプロットすると次のようになる。

f:id:QK-Titech:20210414201506p:plain
25枚の手札でそろった割合

ちょっと見づらいが、上に行くほどそろえるのが簡単で、overKJQJ合戦になった時は右の数を覚えていると強いと読もう。

また、何かしらのoverKJQJが揃った割合は54枚のとき88.4%、KJQJ抜きのとき81.6%となった。

まったく覚える必要はないが最下位はKKTT = 2 * 5 * 101 * 13001。ジョーカー2枚をゼロにしないと出せないoverKJQJはこれとKJKK = 409 * 32057だけである

KJKQ(58.19% / 47.46%)についてnishimura氏が公開している素数大富豪シミュレーションで少し検証してみたが、おおよそ間違いはなさそうだ。(1枚目:54枚からランダム、2枚目:'K','J','Q','J'の4枚を抜いてランダム、3枚目:'X','J','Q','J'の4枚を抜いてランダム。繰り返すが今回検証した条件ではKJQJにジョーカーを使う可能性も加味している。)

f:id:QK-Titech:20210118165138p:plain f:id:QK-Titech:20210118165140p:plain f:id:QK-Titech:20210118165217p:plain

ちなみに一千万回の試行にかかった計算時間は54枚のとき74分、KJQJ抜きのとき102分ほど。

結局何を覚えればいいの?

KJKQKQJKが抜きんでて揃いやすいため、まず覚えたいところ。

大きくて出しやすいoverKJQJというとKKJQKKTJあたりになるのでこれらも強力である。

自分からoverKJQJバトルを仕掛けるときはKKで始まる強いoverKJQJを覚えていなくてはならないが、私はKKJQKKTJKKKQKKQKの4つ以外はまず揃わないだろうと想定してそれ以外にKKxxは覚えていない*5

おわりに

overKJQJの出し合いは大怪獣バトルみたいで見てる側も楽しいのでまた頻出するようになると嬉しい。他にもoverKJQJに関する求めたい確率は色々ある*6が大抵素数大富豪シミュレーションでできるので何か面白い結果が出たら教えていただきたい。

overKKQTJ、overKKQKJについても同じプログラムで調べられるが手札何枚を想定するかが悩みどころである。本記事より簡潔に済ませるかもしれないがいずれoverKKQTJやoverKKQKJの統計も公開するのでこうご期待。

*1:素数大富豪において4枚出し最強の素数KJQJ = 13111211を超える大きさの4枚出し合成数。相手のKJQJに返すことができる。例 : KQJK = 683 * 19211

*2:以下を参照。 【第2期蝉王戦】データ分析 - 初代素数王の備忘録
これに関する意見の一部

*3:覚えやすいoverKJQJは表を眺めるなどして各自ピックアップしてほしい。KQKQ = KQ * 10001 = 25 * 41 * 73 * 137とかが覚えやすいと思う。

*4:生データが欲しい人は私 @kAItAI_wInd_Is に連絡してください

*5:KKKKは自力で素因数分解可能な合成数だが出したことは未だない

*6:有用なおばけ数個だけで何%返せるのか、相カマトトからおばけ対決に持ち込むときはどのくらいの大きさを用意していればいいのか、初手おばけは現実的にあり得るのかなど