素数大富豪の第二歩(素数を覚える)

(筆者: カステラ(twitter: @graws188390))

本稿では素数大富豪のルールを覚えたばかりの方に少しでも早く素数大富豪が上達できるような素数合成数を紹介いたします。 本稿のモチベーションとしては鰺坂もっちょさんの素数大富豪の紹介記事と北大素数大富豪同好会さんの戦略記事の間を埋めることです。内容のレベルは初学者向けチュートリアル | 素数大富豪 Wiki | Fandomに相当すると思います。 www.ajimatics.com prime-hu.hatenablog.com 書き始めたところ想定よりも文章の量が長くなってしまったので素数大富豪で覚えるべき素数合成数を紹介する記事(本稿)とプレーのテクニックについて述べる記事に分割することにしました。

追記(2021年3月30日): 続編を投稿しました。 qk-titech.hatenablog.com

以下、カード(トランプ)のランクについて、エース(Ace/1)を「A」、10を「T」(Tenの頭文字)、ジャック(Jack/11)を「J」、クイーン(Queen/12)を「Q」、キング(King/13)を「K」と記します。

枚数について

素数大富豪で出せる数はその枚数で分類されることが多いです。理由は場に数があるときは場と同じ枚数で出さないといけないというルールと、同じ値でも出す枚数で強弱が異なることがあります。後者についてもう少し詳しく説明しましょう。たとえば1213という素数は「QK」と2枚で出すとこれより大きい2枚出しの素数はないのでかなり強いです*1。一方「A2K」「QA3」と出す3枚出しはこれより大きい3枚出し素数はたくさんあり強い数ではありません。「A2A3」の4枚出しに至ってはこれを下回る4枚出し素数が数えるほどしかないほど弱いです*2

1枚出し

1枚出しは種類が少ない上にたとえ忘れてもその場で素数判定や素因数分解が容易にできますが、念のためまとめておきます。 1枚出しの素数は以下の6個です。

2, 3, 5, 7, J, K

合成数出しも意外と使えます。

4=2*2, 6=2*3, 8=2^3/8=2*2*2, 9=3^2/9=3*3, T=2*5, Q=2*2*3

他に単独ジョーカーが最強カードとして出せることに注意しましょう。

2枚出し

2枚出し素数は38個(J3とAKを区別すれば39個)です。

AA, A3, A7, A9, 23, 29, 3A, 37, 4A, 43, 47, 53, 59, 6A, 67, 7A, 73, 79, 83, 89, 97, TA, T3, T7, T9, J3/AK, Q7, KA, K7, K9, 2J, 3J, 3K, 6K, 8J, 9J, TK, QK

素数大富豪のプレー回数を重ねれば自然とすべて覚えられるでしょうが、ここで覚え方をひとつ提示します。

11(AA)以上139(K9)以下の整数はその場で素数判定します。もし素数なら

  • 一の位が1, 3, 7, 9である
  • 各位の和が3の倍数でない*3

をともに満たす*4ので、この条件を満たしながら素数でないものを除けば上のリストが得られます。2条件を満たしながら素数でないものは

49, 77, 9A, J9, QA, K3

の6つです。つまり上述の2条件に加えて

  • 上の6つのいずれでもない

と覚えればK9までの整数が素数か否か判定できます。またこの6つのうちQA=J^2以外は7の倍数であることに注意すると、上述の2条件に加えて

  • 7で割れず、かつ、QAでない

という条件を課しても素数であると判定できます。うっかり87とかを出さないように各位の和が3の倍数でないことは忘れずチェックしましょう。

K9よりも大きな2枚出し素数はすべてXJまたはXKという形です。なのでXに入る数を暗記してしまいましょう(上と重複しますがAKも含めることにします)。語呂合わせとあわせて紹介します。

  • XJという形で素数になるのはX=9, 2, 8 ,3(靴屋さん)
  • XKという形で素数になるのはX=6, A(1), Q, T, 3(浪費クイーン・とみ)*5

です(ちなみに9283, 6AQT3もそれぞれ素数です。ついでに覚えましょう)。しかもそれ以外は素数でないので、5J、6J、7K、9K、QJといった一見素数っぽい数も素数でないということがわかります(素因数分解はそれぞれ511=7*73、611=13*47、713=23*31、913=11*83、1211=7*173)。

余裕があれば合成数出しにもチャレンジしましょう。以下に使いやすい2枚出し合成数を挙げます。

64=2^6, 8A=3^4, 86=2*43, 94=2*47, 96=2^5*3, 98=2*7^2, T5=3*5*7, T6=2*53, QA=J^2, Q5=5^3, Q8=2^7, 4T=2*5*4A, 5Q=2^9, 6T=2*5*6A, 8T=2*3^4*5, QT=2*5*J^2, KT=2*5*KA, KJ=3*A9*23, KQ=2^5*4A, KK=K*TA

とくに最後の4つ(KT以降)は2枚出し最大素数のQKを超える合成数です。手札に揃ったら積極的に出したいところ。

3枚出し

3枚出しは300個以上あります。これを全て覚えるのはなかなか大変(不可能ではない)なので、よく使うものを中心に覚えていきましょう。

偶数消費型素数

2, 5以外の素数はすべて一の位が1, 3, 7, 9なのでA, 3, 7, 9, J, Kのいずれかを最低1枚は消費します。ということは残りの2, 4, 5, 6, 8, T, Qは消費しづらい、すなわち手札に残りやすいカードです。そこでそのようなカードを一気に消費するような素数(偶数消費型素数)が素数大富豪では大変便利です。

素数大富豪では「5は偶数」と言われ、5や5の倍数も偶数として扱うことが多いです。理由は上述のとおり5が他の(通常の意味の)偶数と同様の特徴をもつからです。

以下に偶数を2枚使う3枚出し素数の一覧を挙げます(上位互換*6のみ)。

223, 227, 229, 22K,
42A, 42J,
52A, 523, 257,
263, 269, 62J,
82A, 823, 827, 829,
T2A, 2TJ, 2TK,
Q23, 2Q9, 2QJ,
443, 449,
54A, 547, 54K,
64A, 643, 647,
487, 48K,
T49, 4TJ,
4Q7, 4Q9, 4QK,
557,
653, 659,
853, 857, 859, 85K,
5TA, 5T7, T5K,
Q59, Q5J,
66A,
863,
6TA, T63, T69, T6K,
6QA, 6QJ, Q6K,
88A, 883, 887,
8TA, T87, 8TK,
8Q3, Q89,
TT3,
QTA, QT7, QT9, QTK

末尾が3つ以上受け付けられるものでも22X, 82X, 64X, 85X, 88X, QTXはかなり使えます。一方でQQXはXが何であっても素数にはなりません。4枚以上でも同じように偶数消費型素数(642A, 86423, 6644227, 8855QQTT9など)があるので探してみましょう。

大きい素数

手番をとる・維持する際には大きい素数ほど有利なので大きい素数は重要です。まず3枚6桁(構成する3枚がすべて2桁)の素数7個(上位互換のみ)を覚えましょう。

KKJ, KQK, KJJ, KTJ, QTK, JQJ, TJJ

次に3枚5桁でも2万以上の大きい素数11個。

8TK, 7TJ, 6QJ, 4QK, 4JK, 4TJ, 3TK, 2KK, 2QJ, 2TK, 2TJ

9万台と5万台に3枚5桁の素数がないことに注意しましょう。

その他の素数

他の3枚出し素数もまったく必要ないわけではないので少しずつでも覚えていきましょう。テクニックの記事で手札から素数を組み切る話をしますが、その際に知っている素数が多ければ多いほど融通が利くからです。以下のもりしーさん*7の記事で紹介されているようにAT3・AT9(伊藤さん・伊藤くん)、9T3・9T9(工藤さん・工藤くん)などの語呂合わせ素数がとっつきやすいと思います。 prm9973.hatenablog.com

合成数出し

3枚になるとその場での計算が大変なので合成数出しもあらかじめ覚えておかないと出すのは厳しいです。すでに覚えるべき素数がたくさんあるのでまずはそちらを優先して、合成数出しは後回しでもそんなに問題はないと思います。意欲がある方向けに使いやすい合成数出しを紹介します。

243=3^5, 256=2^8, 445=5*89, 448=2^6*7, 486=2*3^5, 488=2^3*6A, 549=3^2*6A, 625=5^4, 648=2^3*3^4, 686=2*7^3, 729=3^6, 768=2^8*3, 84A=29^2, T24=2^T, 3Q5=5^5, 5T3=3^6*7, 8Q5=5^4*K, 8Q8=2^6*Q7, 89T=2*3^4*5*J, 9K4=2*4567, TQ5=3^4*5^3, QQ8=2^5*379, KQ2=2*3^8, KQ5=3*5^4*7, 3QK=7^4*K, 8QJ=K*6247, TKQ=2^6*A583, QQJ=53*2287, QQK=47*2579, KKQ=2^4*29*283

4枚出し以上

出す枚数が4枚以上になっても偶数消費型素数や大きい素数が重要であることは変わりませんが、覚える量が著しく増えます。頑張って覚えましょう。以下に4枚出し以上の素数をまとめてある記事を挙げます。

4枚出し

primedaifugo.fandom.com prm9973.hatenablog.com prm9973.hatenablog.com searial.web.fc2.com hachi-2718.hatenablog.com

5枚出し

hana3101382283.hatenablog.com

6枚出し

hachi-2718.hatenablog.com

7枚出し

hana3101382283.hatenablog.com hana3101382283.hatenablog.com

11枚出し

prm9973.hatenablog.com

枚数不定

prm9973.hatenablog.com searial.web.fc2.com tatyam-prime.hatenablog.com hana3101382283.hatenablog.com

合成数出し

akatanana-818ubugqm.hatenablog.com graws188390.hatenablog.com

まとめ

素数を覚えるのは大変な作業ですが、素数大富豪の腕を上げるには不可欠なものです。2枚出しまではすべて覚えれば初心者は卒業。3枚出しがそこそこ出せれば中級者。3枚出しをほとんど覚え4枚出し以上にも踏み込めるようになれば素数大富豪大会でも遜色ない試合ができるかと思います(執筆時点(2021年3月)での筆者の主観)。

*1:実際はKQ=2^5*4AなどのQKを超える合成数出しがあるのでその強さを過信しないようにしたい。

*2:弱い、ということはラマヌジャン革命が発生すると強くなるということです。ただし、この場合は「AA23」としたほうがより小さく(革命時なら強く)なります。

*3:各位の和が3の倍数だともとの数も3の倍数になります。たとえば51(5A)なら5+1=6、117(J7)なら1+1+7=9でどちらも3の倍数なので素数でないと判定できます(実際、51=3*17、117=3^2*13)。

*4:つまり2, 3, 5のいずれでも割り切れない。

*5:T3にあてられる女性名がこれしか思いつきませんでした。

*6:たとえば42Aと24Aはカードの組み合わせが同じでともに素数ですが、ここでは42Aのみ挙げています。

*7:素数大富豪大会のMathpower杯(2017・2018)・マスパーティ杯(2019)・マスプライム杯(2020)で優勝。